総入れ歯と健康寿命の関連性と最新医療現場での使用例

総入れ歯を装着することで、より健康的な身体を手に入れて健康寿命を高めることが可能です。現在では自然な形で使用できる総入れ歯もあり、違和感なく使用することも出来ます。

高齢化社会となって久しい現代日本では、総人口に占める70歳以上の高齢者数が約2000万人を記録するまでになりました。年齢を重ねることで身体にあらわれる変化のひとつ、それは自身が有していた歯をうしなうということです。食べ物をしっかりとかみ砕くことができないと寿命が大幅に低下をしますが、総入れ歯を装着すれば問題を打開することが可能です。

総入れ歯の誕生の歴史と素材の概要

総入れ歯

いまではごく普通に存在するようになったアイテムである総入れ歯は、日本の医療現場で使われるようになったのは、昭和10年からでした。まだ100年も経過をしていない新しい医療用具ということになりますが、ヨーロッパではすでに500年以上も昔に発明をされて使用されていたものです。発祥はイタリアであり、その後イギリスに伝わって改良をされました。王族のために使われた品であるため、庶民が用いるようになったのは、18世紀後半からです。

なお、原型を作ったのはレオナルド・ダ・ヴィンチで、当時の素材は石英という石を削った実用的ではないものでした。現代で用いられている総入れ歯の場合、本当の歯に限りなく近いエナメルを削って顎にはめ込むスタイルです。非常に軽量であるため、使っている方のなかには装着をしていることを忘れているという方さえいるほど。また接着剤があるので、近年では一週間以上そのまま使い続けられるものもあります。ではどうしてヨーロッパで総入れ歯が誕生したのでしょうか。

この地方では古くからビーフなどを活用した肉食や保存力の高いフランスパンをおもな主食としてきました。どちらもしっかりとかみ砕かないと食べることができません。王族であろうとも年齢を重ねるごとで本来の歯をうしなう方が多く、食べることを補助するかたちで入れ歯を使っていたわけです。つまり、日常生活を助けるためのアイテムという色合いが強く、現在のように健康寿命を高めるためのデンタルヘルスケア製品のような使用ではありませんでした。

日本で使われるようになった総入れ歯の歴史

総入れ歯

日本歯科医師会によると、国内ではじめて総入れ歯が誕生したのは昭和10年11月8日となっています。この日は日本記念日協会で良い歯の日に制定をされていることは、大勢に方がご存じでしょう。昭和10年に東京の大学病院で使われるようになっていらい、少しずつ全国へと普及をしていきました。正式に日本製が生まれるのは昭和35年からで、それまではイタリア製品を輸入して用いていたのもポイントです。

総入れ歯を作るには工場などで大量生産をすることはできず、必ず技工士という方が一点ごとに手作業で対応をしなくてはいけません。まだ当時はそのようなスキルを持つ方はいなかったので、イタリアから複数種類を取り寄せて患者に見合った品をえらんだというわけです。そして庶民が気軽に購入ができる価格でもなかったので、使用なさる方も限られていました。

一般に普及をするようになった昭和35年以降は、日本製も誕生しており手に入れやすい品へと変化を遂げていきます。また厚生省では健康保険の適用も実施をされ、より安価で治療をうけることもできたわけです。なぜ厚生省が保険適用を素早くおこなったのか、戦後から国民の平均寿命が一気に高まったことに起因をしています。この時点で高齢化の兆しが見えており、総入れ歯が必要になる年齢が増えたことがわかるわけです。現代の2000年以降は総入れ歯を使用されている方は約40パーセントにも上昇をしていて、70歳以上なら半数以上が総入れ歯愛用者だと言っても言い過ぎではないということになります。

健康寿命と歯の関係性と総入れ歯を用いる意味

総入れ歯

健康寿命という言葉は、いまでは毎日のように新聞やニュースで見聞きをするようになりました。2010年に人生100年時代が到来したと、当時の政権では声高に宣言をされたのは多くの方がご存じでしょう。良い食べ物を食べて身体に栄養をたっぷりと蓄積しつつ、何かしらの病気になったら高水準の医療を受けることも可能です。

しかし、介護などを受けずに自立した生活を自らでおこなうには、健康を維持して末永く暮らさないといけません。認知機能の低下を一気に進めるのは、脳への刺激がなくなるのが大きな理由です。人間の脳は食べ物をじっくりとかみ砕くことで程よい刺激が伝わり、味・味覚・食感などの感性を研ぎ澄ますことも可能。それを実現するのが歯です。この歯が加齢によってなくなると、かみ砕くという行為がおこなえません。そこでサポートをする医療用具が総入れ歯です。文字通りすべての歯を補えるものが多いですが、1990年以降は部分的な歯の欠損をおぎなえる部分入れ歯、ブリッジという製品も登場をしました。

どちらも歯科クリニックで手にすることができ、歯科領域の医療区分に分類をされています。手にするには歯型を最初に作ってから歯科技工士へと受けつがれ、手作業で制作をします。医療現場では数少ないオーダーメイドの品ではあるものの、健康保険が適用されるので、自己負担額がさほど掛かりません。エナメル質で構成をされるため、一度つくれば半永久的に用いているのもポイントです。耐久性があり、本当の歯のように硬いものもかみ砕けます。

最新医療で誕生した新しい総入れ歯

総入れ歯

既存の総入れ歯というと、歯のなかに入れて医療用接着剤で固定をするという使い方をするものがほとんどです。餅やバナナ・おかきなどの硬くて粘り気がある食べ物をたべた際、総入れ歯が外れてしまったという経験をされる方も少なくありません。また接着剤には化学物質が含まれるので、狭心症などで用いるお薬と良くない相乗効果を発揮する可能性もあるので、利用を避けないといけないケースもあるわけです。総入れ歯は手軽に健康寿命を高められるアイテムではあるものの、必ずしも万人が使えるとは言えないわけになります。

しかし、2000年に日本で確立をされた、ある方法を駆使することで問題を打開できるようになりました。それはインプラント施術というものであり、総入れ歯の進化系といえる医療です。簡単に概要を解説すると、チタン製のボルトを歯ぐきに埋め込んで、それを支柱とする義歯を装填する方法です。以前のように付け外しを自分でおこなう総入れ歯ではなく、一度ボルトで固定をすると外すことはできません。

つまり、接着剤を用いる必要もないため先述したような薬の反応を心配することがないということです。インプラントを装填するには、高度な医療技術と設備を有する為、すべての歯科クリニックで処置を受けられるわけではありません。口腔外科を併設していて、尚且つ治療に必要なライセンスを有した専門医が在籍をしている病院を受診することです。またまだ先進医療に区分をされるため、治療費は全額自己負担にあるという側面もある処置になっています。

国民の平均年齢が高まったことで、健康維持に努める努力もしなくてはいけません。健康的な歯を維持するというのが基本でとても大切なことですが、自身本来の歯をうしなった場合でも総入れ歯を装着すれば問題はありません。現在では進化を遂げた使用しやすい総入れ歯も提供をされており、快適で健康的な生活を維持することは容易となっています。